nslookupコマンドはDNSサーバーの名前解決がきちんと行われているかどうかを確認する際に用いるコマンドです。正引き、逆引き、Aレコード、NSレコード、MXレコードなどのレコード種類の絞り込み検索や、再帰検索、インタラクティブ検索、DNSサーバの任意切り替え、デバッグの実行などさまざまなオプションからDNS検索の診断が行えます。nslookupコマンドは実際には、システム管理者がDNSサーバーに誤りがないかを検証するため用いられたコマンドであったため、非常に多彩なオプションコマンドが指定できるようになっています。ここでは敢えて基本的な使い方しか説明しませんが、興味がある方は各自で勉強してみるとよいでしょう。なお、nslookupコマンドはWindows95/98/MEには搭載されておらず、WindowsNT/2000/XPから標準搭載されています。そのため、フリーの名前解決ソフトやWebサイトなどで調べなくても自分のコンピュータ内で名前解決を行うことができるようになりました。nslookupコマンドには対話モードと非対話モードがあり、まずは非対話モードから説明していきます。コマンドプロンプトを起動して以下のように入力してください(参考:「
DNSとは/DNSサーバーの仕組み」)。
◎正引き(非対話モード)
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nslookup ホスト名 [DNSサーバー名(省略可)] |
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C:\>nslookup
www.ocn.ne.jp
OCNの名前解決(ホスト名⇒IPアドレス)を実行
Server: ns-tk011.ocn.ad.jp
Address: 203.139.160.73
↑名前解決に使用したDNSサーバーの情報
Non-authoritative answer:
Name: www.ocn.ne.jp
Address: 211.129.15.51←OCNのIPアドレスが判明 |
画面上に「Non-authoritative answer」(権威のない回答)というのが表示されていますが、これは検索結果がそのコンピュータを管理しているDNSサーバー(ここではwww.ocn.ne.jpを管理しているDNSサーバー)から直接得られたものではないことを示しています。つまり、他のDNSサーバー(組織内、もしくは上位のDNSサーバー)のキャッシュ情報から得られた情報であるということです。よって自分の希望するDNSサーバーに直接名前解決をしてもらいたい場合はコマンド実行時にDNSサーバー名を指定することを忘れないで下さい(例:nsloolup
www.ocn.ne.jp 203.139.161.39)。なお、ここでは表示されていませんが、コマンドを実行した際に「Aliases」という項目が表示されることがあります。「Aliases」欄に表示されるコンピュータ名は、逆引きを行うために定義されている各コンピュータの別名を表しています。
◎逆引き(非対話モード)
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nslookup IPアドレス
[DNSサーバー名(省略可)] |
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C:\>nslookup
210.153.0.27
210.153.0.27の名前解決(IPアドレス⇒ホスト名)を実行
Server: ns-tk011.ocn.ad.jp
Address: 203.139.160.73
↑名前解決に使用したDNSサーバーの情報
Name: wwwc.plala.or.jp
↑210.153.0.27のIPアドレスを持つホストはぷららであることが判明
Address: 210.153.0.27 |
では、次に対話モードでのnslookupコマンドの使用方法を解説していきます。非対話モードでは結果を表示した後に、すぐに終了してしまう形式でしたが、対話モードでコマンドを実行するとクライアントからの要求に対して次々とこたえてくれるようになります(一般的にはこちらのモードの方がよく使われます)。なお、対話モードを途中で終了したい場合は、「CTRL+C」、もしくは「exit」と入力します。では、コマンドプロンプトに今度は「nslookup」とだけ入力してください。「>」が現れたら名前解決の確認を行いたいホスト名、もしくはIPアドレス名を次々と入力していくだけで、対話形式で答えてくれます。
◎nslookup(対話モード)
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nslookup |
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C:\>nslookup
Server: ns-tk011.ocn.ad.jp
Address: 203.139.160.73
↑名前解決に使用したDNSサーバーの情報
> www.ocn.ne.jp
↑OCNの名前解決(ホスト名⇒IPアドレス)を実行
Server: ns-tk011.ocn.ad.jp
Address: 203.139.160.73
Non-authoritative answer:
Name: www.ocn.ne.jp
Address: 211.129.15.51 ←OCNのIPアドレスが判明
> 210.153.0.27
↑210.153.0.27の名前解決(IPアドレス⇒ホスト名)を実行
Server: ns-tk011.ocn.ad.jp
Address: 203.139.160.73
Name: wwwc.plala.or.jp
↑210.153.0.27のIPアドレスを持つホストはぷららであることが判明
Address: 210.153.0.27
> www.yahoo.co.jp
↑Yahooの名前解決(ホスト名⇒IPアドレス)を実行
Server: ns-tk011.ocn.ad.jp
Address: 203.139.160.73
Non-authoritative answer:
Name: www.yahoo.co.jp
Addresses: 211.14.13.225, 211.14.13.226, 210.81.150.166,
210.81.153.68
210.81.153.69, 210.81.153.70, 211.14.13.65, 211.14.13.66
↑YahooのIPアドレスが判明
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nslookupコマンドにはこの他にもたくさんのオプション機能が付属しています。以下の表は対話モード形式の場合に実行するオプションコマンドの内のほんの一部にすぎません。これらのオプションコマンドを利用するためにはDNSサーバーの深い知識が必要となるので、もっと詳しく書かれたWebサイトに解説を委ねることにしましょう。
コマンド実行例 |
説明 |
server
[DNSサーバ名]
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使用しているDNSサーバーを、指定したサーバーに変更します。 |
ls
[ ホスト名]
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指定したドメインに登録された全レコード情報(ゾーン情報)を取得します。
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root
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現在のデフォルト・サーバーをルートネームサーバーとします。 |
lserver [DNSサーバー名] |
使用するDNSサーバーを、指定したサーバーに変更します(デフォルト・サーバの変更)。 |
finger |
デフォルト・サーバに対してfingerを実行します。
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